1日1メニューの「日替り菜食ごはん」で大評判。土佐堀「ロッカ(Rocca)」

土佐堀川に架かる筑前橋の南詰めを少し西に入ったところに、とても個性的な「定食屋さん」があります。お店の名前は「ロッカ(Rocca)」。ランチタイムもディナータイムも、メニューは「日替り菜食ごはん」のみ。
「えっ、1メニューしかないの?」と驚く方もいるかもしれません。しかし、食材から調味料、料理法まで、ひとつひとつにこだわってできた“優しさあふれる味”と、野菜メインだからこそのヘルシーさが評判となり、お昼は健康志向の女性客、夜は仕事の疲れを癒すかのようなビジネスマンと、連日たくさんのお客さまで賑わっています。

中之島周辺ならではの、静かで落ち着いたロケーションにたたずむ「ロッカ」に、「菜食ごはん」についてのこだわりや、どうしてそんなメニューに辿りついたのかなど、興味深いお話しをお伺いしてきました。

ロッカ(Rocca)
ロッカの「菜食ごはん」は、「三分つき米※1」のご飯とみそ汁、野菜をメインにした日替りの主食と副菜というセットで、基本的には肉や魚など動物性のものは使いません。しかし、主菜に副菜が3つ付くので、かなりのボリュームです。
どうしてこのようなメニューになったのか、店主である栄田(えいだ)くるみさんにお伺いしました。
「以前、働いていた時に、ちょっと体調を崩したことがありました。それで体質を改善しようと思い、野菜中心の食事に変えたんです。すると、とても体調がよくなりました。そこで野菜だけのメニューを自分なりにいろいろ勉強し、玄米菜食のお店などで働いたりしました。そのうち自然に、こういう感じのお店ができたらいいなぁ・・・と思うようになりました」

※1:三分(ぶ)つき米 
「分つき米」とは、玄米から糠層と胚芽を一定の割合で精米をしたお米のこと。ロッカの「三分つき」の場合、精米率が3割、つまり胚芽を7割ほど残した状態で精米しています。ほぼ玄米に近い栄養ながら、玄米よりもやわらかく食べやすくなっています。

メニューは、1種類のみ。しかし、こだわり抜いた味が楽しめます。メニューは、1種類のみ。しかし、こだわり抜いた味が楽しめます。
ロッカは、実は10年ほど前は別のオーナーが経営するイタリア料理レストランだったそうです。その時に店長として働いていたのが、栄田さんでした。
「当時から、シェフと相談してお野菜だけの料理を作ったり、動物性のものを使わないコース(予約のみ)をお出ししたりしていました。その後、オーナーがお店を辞めるということになり、ここで菜食ごはんのお店を始めました」と当時を振り返ります。

ちなみに「ロッカ」という店名はイタリア語で「砦」を意味し、以前の店名をそのまま継承したものです。

「体調を崩し、体質改善を図るため、野菜中心の食生活になった」と語る、店主の栄田くるみさん。「体調を崩し、体質改善を図るため、野菜中心の食生活になった」と語る、店主の栄田くるみさん。
次にロッカの特徴ともいえる、1日ひとつのだけの菜食メニューに絞った理由をお聞きしましたが、これは思わぬ結果から生まれたものだとか。
「最初の1週間か2週間は、私一人でお店を切り盛りしていたので、とても忙しくオーダーを取りに行くのも大変な状態でした」

そこで栄田さんが考え付いたのが、メニューをひとつに絞ること。お客さまが席に座ったらすぐに料理をお出しできるという、非常に高効率な方法でした。
飲食店にとってメニューを絞り、ひとつだけにするというのは、とても勇気が必要だったはず。しかし、結果的にはこれが正解だったと栄田さんは言います。
「1種類に絞ったことで、お店のコンセプトが明確にできましたね。不安もありましたが、今となっては、ひとつにして良かったと思います」

お店のコンセプト・・・それは体調を崩されて以来、栄田さんの想いでもあった「身体をつくる料理」「命をつくる料理」をお出しするということ。ひとつのメニューだけを丹精こめてつくれるようになったことで、栄田さんは自分の想いを実現させたのです。

ではお料理は、具体的にはどのような内容なのでしょうか?

落ち着いた雰囲気が満ち溢れた店内。ここならじっくりと過ごせそうですね。落ち着いた雰囲気が満ち溢れた店内。ここならじっくりと過ごせそうですね。
取材に伺った日の「日替りごはん」。野菜だけのおかずということですが、ボリュームたっぷりでお腹いっぱいになりました。取材に伺った日の「日替りごはん」。野菜だけのおかずということですが、ボリュームたっぷりでお腹いっぱいになりました。
「福井にいる夫の両親が、野菜を有機栽培で、お米を特別栽培※2で育てていて、主にそちらのものを使っています。野菜は、近郊のものを使うこともありますが、お米はほぼ、夫の実家が作ったコシヒカリを使っています」

さらにコシヒカリは、栄養価と食べやすさのバランスを考え、先に紹介した「3分つき米」で提供。またお味噌は、麩、大豆、塩、麦だけで作られた、いわゆる天然醸造のものを5~6種ほどブレンドして使っています。
ただ、調味料も極力少なくしているそうです。というのも、「良い調味料は少量で味が決まるから」(栄田さん)だそうです。

※2:特別栽培米・・・通常栽培よりも化学肥料、農薬などの使用量・使用回数を抑えた農法。栄田さんのご主人の実家では、田植えの前に一度だけ、除草剤を使用するそうです。

しょう油、お味噌、塩など、こだわりの調味料。栄田さんが数あるものの中から厳選した、天然醸造のものばかり。しょう油、お味噌、塩など、こだわりの調味料。栄田さんが数あるものの中から厳選した、天然醸造のものばかり。
そして、ロッカのお料理には砂糖が使われていません。
「お野菜本来の甘みと旨みを感じていただきたいのです。ただ、少し甘みが必要な場合もあるので、その時は手作りの甘酒を使っています」とのこと。

また、お味噌汁の作り方にも栄田さんの強いこだわりが感じられます。
「薄く切った野菜を重ねて小さい火で1時間以上コトコト煮ます。
そうすると野菜からエキスがでてきます。そこにこぶ出汁を入れてお味噌をといたものがロッカ特製のお味噌汁です」ということで、かなり手間のかかったもので、野菜の旨みがギュッと詰まった、とてもやさしい味わいでした。

カウンターや各テーブルには、ロッカの考えを記載した説明書が置かれていました。カウンターや各テーブルには、ロッカの考えを記載した説明書が置かれていました。
「近所にお勤めの方も多いですが、遠くからわざわざお越しくださるお客さまもいらっしゃいますよ。最近は海外のベジタリアンの方が、よく来てくださいます。SNSなどで当店のことを知り、サイトで探してわざわざお越しになるんです」とうれしそうに栄田さんは話されます。

しかし野菜メインの料理の場合、メニューを考えるのが大変そう。そう栄田さんに質問すると・・・
「旬のお野菜しか使いたくないのです。だから夏ならどうしてもキュウリやおナスが多くなります。でも毎日お越しくださるお客さまもいるし、“毎日のごはん”というコンセプトで、調味料を変えたり調理法を変えたりと悪戦苦闘しながらやっています(笑) 」

先にも書いた通り、栄田さんの想いは「身体をつくる料理」「命をつくる料理」をお出しすること。中之島の一角で、このような素晴らしい想いを持ってお料理を作ってくれるお店があることに、感謝したいですね。心や身体がやさしい料理を欲しがっている時に、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。

店内の棚には、こだわりの食材や、食についての本が。店内の棚には、こだわりの食材や、食についての本が。
調理中の栄田さん。後ろにいらっしゃるのは、ご主人の栄田健二さん。二人三脚でお店を切り盛りしています。調理中の栄田さん。後ろにいらっしゃるのは、ご主人の栄田健二さん。二人三脚でお店を切り盛りしています。
(2018年10月/※画像はイメージです)
ロッカ(Rocca)
住所
大阪府大阪市西区土佐堀1-6-6 LINK HOUSE Tosabori 1F
TEL
06-6444-5765
営業時間
●月~木 11:30~14:45/18:00~22:00
●金 11:30~14:45/18:00~22:30
●土 11:30~14:45(お昼だけ営業)
定休日
日曜日、祝日、第二土曜日
アクセス
○地下鉄四ツ橋線肥後橋駅下車 徒歩約7分