大阪で唯一、イタリアのマルケ料理が堪能できる店
オステリア・ラ・チチェルキア

 
イタリア半島を「脚」になぞらえると、ちょうど「ふくらはぎ」あたりにあたるのが、アドリア海に面した「マルケ州」。
その地方の郷土料理を提供する料理店は、日本でも数店しかないそうです。
 
そんな希少なマルケ料理専門店の先駆けであり、大阪で唯一のお店なのが「オステリア・ラ・チチェルキア」。
 
今日はオーナーシェフである連(むらじ)久美子さんに、マルケ料理の魅力についていろいろお伺いいたしました。

 

■ スローフードにあこがれイタリアへ。落ち着いた先が「マルケ」だった。

 

– そもそも連シェフは、どうしてマルケ料理に興味を持たれたのでしょうか?
 

連シェフ
「もともと料理が好きで、大学を卒業して調理師専門学校に行きました。その後、学校に特別講師として来られたイタリアンの落合務シェフのお店でお世話になりました。その中で地産地消のスローライフに興味を持ったので、本場のイタリアに行ってみようということになり、行った先がマルケだったのです。その当時は、マルケってどこにあるかも知らないほどでした」

日本のマルケ料理の第一人者ともいえる連(むらじ)久美子シェフ。マルケで地産地消、スローフードの真髄を体験しました。
日本のマルケ料理の第一人者ともいえる連(むらじ)久美子シェフ。マルケで地産地消、スローフードの真髄を体験しました。
このかわいい動物のカトラリーレストは、連シェフの手造り。お店の中は、連シェフのセンスあふれる小物でいっぱい。このかわいい動物のカトラリーレストは、連シェフの手造り。お店の中は、連シェフのセンスあふれる小物でいっぱい。

 

– イタリア料理ではなく、マルケ料理のお店にされたのは?
 
連シェフ
「ひとくちにイタリア料理といっても地方で結構、異なります。パスタだけでも300種ぐらいあると聞きました。
マルケで修行した後、日本でイタリア料理店をしようかなと考えていた時に、当時の師匠から『イタリアにイタリア料理店はない。私はマルケ料理人だから、マルケ料理店をしなさい』といわれまして。それにまだまだ日本ではマルケそのものが知られていないので、マルケ料理専門店を始めることに決めたんです」

カウンターの向こうの窓に書かれた、マルケ料理のメニューの数々。お馴染みの料理名もあれば、聞きなれない料理名も。
カウンターの向こうの窓に書かれた、マルケ料理のメニューの数々。お馴染みの料理名もあれば、聞きなれない料理名も。
ワインや地ビールも、マルケのものを主体にストック。マルケ専門料理店としてオープンして、7年。常連のお客さまも多いお店です。ワインや地ビールも、マルケのものを主体にストック。マルケ専門料理店としてオープンして、7年。常連のお客さまも多いお店です。

 

– ところで「チチェルキア」という店名の由来は?

 
連シェフ
「チチェルキアという名前の『豆』があるんです。畑の周囲の畔などに植えられて、以前はよく食べられていたそうですが、最近はあまり食べられていませんでした。でもスローフードやナチュラルフードが注目を集める中で、ヘルシーな食材として、今、また見直されてきた食材です。また、チチェルキアの日本名は『連理草』というのですが、私の姓である『連』と、『理が通じる』という意味が感じられたため、この名前を店名にしました」
これが日本名「連理草」ことチチェルキア。生では非常に硬いですが、塩ゆでにすれば、なかなか美味しくいただけます。
これが日本名「連理草」ことチチェルキア。生では非常に硬いですが、塩ゆでにすれば、なかなか美味しくいただけます。
■ 家庭ごとに味が違う、ひと言でいうとイタリア版「お袋の味」。

 

– それでは、マルケ料理を紹介していただけますか。
 
連シェフ
「本当に、イタリアの家庭料理という感じですね。だから家々で少しずつ味や使う食材が違ったりします。牛、豚、鶏の他、ウサギや鴨なんかもよく使いますね。どれも素材そのものの味をじっくりと引き出した、素朴だけど美味しい料理だと思います」

オリーブの肉詰めフリット 自家製の塩漬けオリーブのタネを取った部分に、牛・豚・鶏などのひき肉を詰めて揚げたもの。ワインのお供に最適です!
オリーブの肉詰めフリット
自家製の塩漬けオリーブのタネを取った部分に、牛・豚・鶏などのひき肉を詰めて揚げたもの。ワインのお供に最適です!
スペルト小麦のサラダ スペルト小麦は、現代の小麦の原種にあたる古代穀物です。茹でたスペルト小麦と小さくカットした野菜と和えたヘルシーメニュー。野菜をしっかり摂りたい時に。スペルト小麦のサラダ
スペルト小麦は、現代の小麦の原種にあたる古代穀物です。茹でたスペルト小麦と小さくカットした野菜と和えたヘルシーメニュー。野菜をしっかり摂りたい時に。
マルケ風お肉のトマトソースのタリアテッレ いわゆる「モツ」が使われていますが、柔らかく味が深く浸み込んで、美味! 自家製パスタもトマトソースとよくからんでBUONO!マルケ風お肉のトマトソースのタリアテッレ
いわゆる「モツ」が使われていますが、柔らかく味が深く浸み込んで、美味! 自家製パスタもトマトソースとよくからんでBUONO!
ウサギのインポルケッタ鶏よりもコクがあって旨みが強くしっかりした味わい。レバーも鶏に比べて臭みがなく、これなら苦手だった人も食べられるかも。ウサギのインポルケッタ
鶏よりもコクがあって旨みが強くしっかりした味わい。レバーも鶏に比べて臭みがなく、これなら苦手だった人も食べられるかも。
■ 都心だけど、緑豊かで静か。周りにイタリア関連のお店も多い場所です。

 

– お店は中之島と靭公園の中間ぐらい。ここを選ばれた理由は?
 
連シェフ
「この辺りは、イタリアンのリストランテやバールが多いんです。他にも、ドルチェ専門店やイタリアワイン専門店もあったりして、イタリアを感じていただけるお店が集まっています。また、公園も近く、歩いていても気持ちいい地域なんです。気軽に立ち寄っていただけると嬉しいですね。

お店は、なにわ筋から少し西に入ったオシャレなビルの3階にあります。中之島や靭公園にも近く、静かな環境なのも魅力。お店は、なにわ筋から少し西に入ったオシャレなビルの3階にあります。中之島や靭公園にも近く、静かな環境なのも魅力。
連シェフがお一人で切り盛りしているお店は、カウンター席6席と、奥のテーブル席4席、計10席。アットホームな雰囲気が漂います。連シェフがお一人で切り盛りしているお店は、カウンター席6席と、奥のテーブル席4席、計10席。アットホームな雰囲気が漂います。

– 大きなお店にはない、家庭的な雰囲気がいいですね。
 
連シェフ
「お客さまにも、家にいるような感じでくつろいでいただきたいのです。だから、テーブル席の椅子は、形がバラバラなものをわざと組み合わせました。
それにお客さまと近くありたいので、カウンターの幅をできるだけ狭くして、お客さまと私を遮るものを置かないようにしています」

お店の奥にあるテーブル席。形の異なる椅子をわざと組みあわせて、家庭的な雰囲気を演出。ご利用になるなら、事前予約がオススメです。お店の奥にあるテーブル席。形の異なる椅子をわざと組みあわせて、家庭的な雰囲気を演出。ご利用になるなら、事前予約がオススメです。
お席からはカウンター越しに、連シェフが調理する様子が間近に見られます。時にはシェフとおしゃべりしながら、楽しいひと時も。お席からはカウンター越しに、連シェフが調理する様子が間近に見られます。時にはシェフとおしゃべりしながら、楽しいひと時も。

 

– 連シェフの想いが、ずっと居たくなるような雰囲気として表現されているようですね。
 
連シェフ
「そう言っていただけると嬉しいですね。私はできるだけお客さまにゆったりとしていただきたいんです。他のイタリアンのお店で食べた後、『もうちょっと、飲みたいから』といって寄ってくださるお客さまもいますし、ここで食べた後、イタリアンのバールに向かわれる方もいらっしゃいます。どんなお客さまにも、ゆっくり楽しんでいただける店でありたいと思います」
 

お越しになったお客さまのサインなどが残る店内。

 

<取材レポ>

 
マルケ料理を今回の取材で初めて知りました(申し訳ありません)。でも素朴ながら味わい深いテイストと連シェフの丁寧な調理で、本当に美味しくいただきました。
また「イタリアン」といっても、いろんな種類があることを知り、その奥深さに大きく興味をかき立てられました。
これからも、折々に通いたくなるお店・・・チチェルキアは、まさにそんなお店でした。

(2019年11月)
オステリア・ラ・チチェルキア
(Osteria La Cicerchia)
住所
大阪府大阪市西区京町堀2-3-4 サンヤマトビル 3F
TEL
06-6441-0731
営業時間
●月・水~土 18:00~24:00
●日 14:00~23:00
定休日
火曜日
アクセス
○大阪メトロ四つ橋線 肥後橋駅下車 徒歩約8分
○大阪メトロ中央線・千日前線 阿波座駅下車 徒歩約10分
○大阪メトロ四つ橋線 本町駅下車 徒歩約10分