水都の新名所「八軒家浜船着場」開港!

この春、京阪中之島線の起点となる天満橋駅北側に「八軒家浜」船着場が開港します。これにあわせ、天満橋駅構内の商業施設「パナンテ京阪天満橋」もリニューアル・オープン。今日は、開港直前で賑わうこの界隈を訪れてみました。
八軒家浜
八軒家浜
「八軒家浜」。その名前の由来は、古くから京都・伏見と大阪を結ぶ三十石船の発着場で、江戸時代に八軒の船宿があったからと言われています。また、京都から船に乗り、「八軒家浜」を経由して熊野詣でをしたことから、熊野街道への起点としても知られています。

天満橋駅の北側に開港する「八軒家浜」船着場は、そのような地理的・歴史的背景を活かし、水都・大阪のシンボルとなる景観と賑わいを持つ水陸交通ターミナルとして整備されました。京阪天満橋駅の改札と直結するエントランスもオープンし、まさに“改札を出たら船着場”という表現がピッタリです。

天満橋から眺めた「八軒家浜」は大川沿いにまっすぐ伸び、周囲の風景と美しく調和していました。船着場はほぼ完成し、あとは3月29日の開港式を待つばかりといった雰囲気。3隻分の観光船が着岸できる船着場には、大阪城や道頓堀など大阪中心部のリバークルージングが楽しめる船が寄港します。
またその周辺に、大川を間近に望むことができる遊歩道も整備。昼間はのんびり川辺を散策できる憩いの場として、美しくライトアップされる夜はロマンティックな水辺スポットとして、訪れる人々を癒してくれそうです。
八軒家浜
次は、3月21日にリニューアル・オープンしたばかりの駅ナカ商業施設「パナンテ京阪天満橋」へ。駅改札からスグの利便性に優れ、リバーウォークのお供にピッタリのテイクアウト・ショップから川を眺めながら寛げるカフェまで、全18店舗が立ち並びます。中でも、大川沿いに大きな窓がとられた「RIVER CAFE」(オペレーションファクトリーの直営店)とマクドナルドは、桜が咲くこれからの季節、絶好のお花見カフェとなりそうです。それから見逃せないのが、「SWEETS BOX 天満橋店」。ここは、全国各地の人気スイーツ店が期間限定で出店するスペースで、私が訪れたときは、堂島・アンブラッセが出店していました。有名店のスイーツが週替わりで気軽に買えるなんて、甘いもの好きにはたまりませんね。
パナンテ
パナンテ
パナンテ
水上交通の要所として栄え、キタやミナミとは違う独特の文化や歴史が息づく天満橋界隈。今回竣工した「八軒家浜」は第1期の部分となり、来年度の完成を目指す第2期では、キャッスルホテルから天神橋にかけて約300mが順次整備されていくそうです。人々が集い憩う空間として、新たに生まれ変わった水都の新名所は、まだまだ進化し続けます。
(※2008年3月に取材・掲載した記事です。)
パナンテ京阪天満橋
住所
大阪市中央区天満橋京町1-1
TEL
06-6941-1562

大阪最古の洋風建築「泉布館」を訪ねる

ようやく冬の寒さが緩み、三寒四温を肌で感じるこの頃。いよいよ春近し、というわけで今日は、毎年春季のみ一般公開となる「泉布観(せんぷかん)」を訪ねることにしました。
泉布館
泉布館
大阪のお花見の名所といえば「桜の通り抜け」で知られる造幣局ですが、その造幣局の近くにひっそり佇んでいる白い洋館が泉布観です。「泉布観」の一般公開は毎年、春分の日前後に行われますが、今回は特別に、一般公開前に見学させてもらえることになりました。
明治初期の桜ノ宮一帯は、大阪豪商の舟遊びの地だったそうですが、明治政府は大川に面したこの地に、新しく近代的な造幣寮(現在の造幣局)を建てました。造幣寮は貨幣の製造のみならず、化学・機械といった近代産業や、洋装・ザンギリ頭など近代文化の先駆けとなった土地。大阪の文明開化はここから始まったといってもよいかもしれません。
泉布観は明治4年(1871)、造幣寮の応接所として建てられた、現存する大阪最古の洋風建築です。泉布観の「泉布」は「貨幣」、「観」は「館」という意味で、明治天皇が行幸した際に天皇自身によって命名されました。明治初期の洋風建築の特徴を色濃く残すこの建物は、昭和31年(1956)という早い時期に、国の重要文化財に指定されています。
泉布観の設計は、造幣寮の全施設や東京・銀座の煉瓦街などを設計し、明治初期の日本の洋風建築の歴史に貢献した人物として知られるアイルランド出身の技師、トーマス・J・ウォートルスが手がけました。設計者が西洋人とはいえ、ザンギリ頭と髷(まげ)がまだ入り混じっていた時代、建設に携わった日本の工匠たちの苦労がしのばれます。

建物の主な特徴は、煉瓦造(れんがぞう)であること、建物の周りにヴェランダをめぐらした「ヴェランダ・コロニアル」形式であること、内部は天井が高く、ガス灯時代の照明器具が使われていることなどが挙げられます。2階からは直接ヴェランダに出ることができ、トスカナ式と呼ばれる太い柱とともに、異人館のような雰囲気を醸し出しています。東側のヴェランダからは、木立の向こうに大川を望むことができました。

室内でとくに印象的だったのが、2階北西室。楕円形の大きな鏡がデザインに組み込まれた暖炉が存在感たっぷりに鎮座しています。それから、ペンキで描かれた床の市松模様にも目を奪われました。これはタイルが高価だった当時、その憧れを表したものといわれています。

泉布館
泉布館
泉布館
泉布館
泉布館
泉布観のすぐそばには、明治4年(1871)に完成し、国の重要文化財に指定された「旧造幣寮鋳造所正面玄関」があります。こちらも泉布観と同じ、造幣局建築のひとつで、造幣寮の中心建築物であった鋳造場の玄関を移築したものです。泉布観の公開時期には、この建物の外観もあわせて見学することができます。

造幣局や泉布観のそばに架かる桜宮橋(銀橋)から天満橋までの南北は毛馬桜之宮公園で、これからの季節、絶好の散策ルートになります。早春の風とともに楽しめる「泉布観」見学、みなさんもいかがですか?

※一般公開は、例年3月の3日間程度。詳細はお問い合わせください。
(※2008年3月に取材・掲載した記事です。)
泉布館
住所
大阪市北区天満橋1-1-1
TEL
大阪市総合コールセンター なにわコール(年中無休 8時から21時まで)電話番号:06-4301-7285

水上バスに乗って、大阪・梅の名所めぐり

まだまだ寒いこの時期、清らかな香りと色で春を感じさせてくれるのが梅の花です。今日は、大阪水上バスから発売されている「大阪梅名所めぐりセット券」を使って、中之島周辺の観梅スポット「大阪城梅林」「大阪天満宮」を訪れてみたいと思います。
大阪城梅マップ
大阪城梅林
入り口
「大阪梅名所めぐりセット券」は、大阪水上バス「アクアライナー」の片道乗船券と大阪天満宮の「大盆梅展」入場券がセットになったお得なチケット。このチケットを片手に私が訪れたのは、大阪屈指の観梅スポット、大阪城公園の梅林です。梅林への最寄り駅はJR大阪城公園駅や大阪ビジネスパーク(OBP)駅ですが、お天気がよければ天満橋駅からお堀沿いを歩いていくのも気持ちよさそうです。天守閣の東側にある梅林は、敷地面積約1.7haの広さに約95種、約1,250本の梅が植えられています。園内には盆栽や植木の即売会が催され、庭木と梅の相談室なども設けられています。

梅林に到着すると、年配のご夫婦や修学旅行生、ビジネスマン風の男性など、たくさんの人で賑わっていました。園内は爽やかな香りがほのかに漂っています。 寒紅梅や冬至梅、八重野梅など、早咲きの梅はほぼ満開で見頃を迎えていました。全体では3~4分咲きくらいでしょうか。これだけ素晴らしい梅が見物できて入場無料は嬉しいですね。満開時にもう一度行ってみたいな。

大阪城梅林
大阪城梅林
カラフルな梅を満喫したら、立派な青屋門をくぐって大阪城ホール方面へ。この近くに水上バスのりば(大阪城港)があるのです。大阪城港の売店では梅の本場・紀州産の南高梅を使った「梅長寿かゆ」も販売されていました。
アクアライナー
アクアライナー

アクアライナーは全席指定。私が乗ったコースは大阪城港を出港し、天満橋港、淀屋橋港に立ち寄り、大阪天満宮の最寄港であるOAP港へと向かう約40分のクルーズです。船はOAP港に立ち寄ったあと大阪城港に戻りますので、乗り過ごさないように気をつけてくださいね。 左側の席に座った私は、窓の外の風景に釘付け。ここから見えるビルは、土佐堀通り沿いに建つビルの裏側にあたります。人気ティールームの北浜レトロや、難波橋のライオンもみんな背中を向けています。土佐堀川をのぞむガラス張りのオシャレなカフェも見つけました。

アクアライナー
アクアライナー
アクアライナー
クルーズではさまざまな橋をくぐりました。大阪城新橋、新鴫野橋、京橋、寝屋川橋。天満橋を越えて、土佐堀川に入ると、天神橋、難波橋、栴檀木橋。折り返し地点の淀屋橋港からは淀屋橋も見えました。それから、川崎橋、桜宮橋。かつて八百八橋といわれた水都・大阪の栄華を今に伝えています。

満潮時でも安全に橋をくぐることができるよう、船の天井部分は30cmほど下げることができる仕組みになっています。最も下がったときの高さは水面からわずか1m30cmほどなのだそうです。

船は淀屋橋港に寄港後Uターンして、中之島東端(剣先)の地形をたどるように進んだあと、OAP港へ向かって川をのぼっていきます。

大阪城梅林
水鳥たちが飛び交う水辺の風景を楽しんでいる間に、船はOAP港に到着。ここから無料のシャトルバスに乗って大阪天満宮へ向かいます。大阪天満宮は、梅をこよなく愛した学問の神様・菅原道真公を祀る神社です。境内にも梅の木がいくつも植えられていました。

「大盆梅展」では、甲州野梅、白加賀、思いのままといった約20種約100本の盆梅が鑑賞できるほか、夜間拝観日にはライトアップや大正琴・神楽などのイベントも開催。中庭の梅を眺めながら、九州・大宰府直伝の「梅の木餅」や「梅昆布茶」がいただける喫茶スペースもあります。

「大盆梅展」は、書院造の参集殿という建物で開催されていました。盆梅とは鉢植えされた梅のことですが、その鉢という制限のある空間で繰り広げられた野趣あふれる枝ぶりは生命力に満ち、見ごたえたっぷり。

天満宮
天満宮
天満宮
天満宮
大阪城梅林
自分へのお土産に大阪天満宮のオリジナルタオル(300円)を買ったところで、今日の散策は終了です。今回は、梅の名所を船でめぐり、その船から中之島の風景を眺め、ひと足先に春気分を味わった粋な散策となりました。みなさんもプチクルーズしてみませんか。
(※2008年2月に取材・掲載した記事です。)
大阪城梅林
住所
中央区大阪城公園内
TEL
東部方面公園事務所 電話 06-6941-1144
大阪天満宮  てんま天神梅まつり
住所
大阪市北区天神橋2-1-8
TEL
06-6353-0025

中之島を北へ・福島「売れても占い商店街」を歩く

今日の散策は、玉江橋からスタート。北へ10分ほど歩いたところにあるJR大阪環状線「福島」駅を目指します。お目当ては「福島聖天通商店街」、通称「売れても占い商店街」。なんでも今話題の“占い”スポットなのだそうです。

中之島散策 福島 売れても占い商店街
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この商店街の道筋は、福島聖天 了徳院への参拝道として古くより発展してきました。また、明治期の「大坂みち」(後の大和田街道)にあたり、西天満と尼崎を結ぶ重要な物流道路で荷車や人の往来も多かったそうです。昭和初期には北大阪随一の盛り場となり、戦前は心斎橋筋、九条新道、十丁目筋(現・天神橋筋)と並んで大阪の4大商店街と称され、“北の心斎橋”とも呼ばれていたとか。戦後、一時は衰退したものの、“占い”で今再び賑わいを見せるこの商店街。どんなところか期待が高まります。

中之島散策 福島 売れても占い商店街
駅の高架をくぐると左手に商店街のゲートが見え、その幕には“売れても占い商店街”の文字が。通りの両側にもたくさん“のぼり”が立ち、各店の看板には、占いキャラクター「うらら」ちゃんも登場しています。占いは商店街の中で毎日行われるほか、毎週金曜に「売れても占い金曜館」として4館を常設オープン、さらに毎月第4金曜は「売れて売れても占いデー」として、通り沿いに20~30名の占い師がズラリと並ぶのだそうです。 私がおじゃましたのは「売れても占い金曜館」。占い師のスケジュールを「福島聖天通商店街」のホームページでチェックし、今回は、神田翔臣(かんだ・しょうしん)先生にお願いすることにしました。理由は、先生のオフィシャルサイトから優しそうな人柄が伝わってきたからです(単純?)。実際にお会いした先生は笑顔が素敵で、やっぱり優しい方でした。
中之島散策 福島 売れても占い商店街
先生が取り組んでおられるのは、陰陽力量学を使ったオリジナル占い、その名も“マイスター占い”。さっそく生年月日と生まれた時間を伝えると・・・ 「しまちゃんは、まじめで公明正大、明るい子ですね」とまず一言。「でも、ちょっとせっかちでおっちょこちょいです」。なんだかサザエさんみたいな性格なんですね。それから、周りの人に何かとかわいがってもらっているのですが、私自身がそのありがたさに気づいていないとのこと。もっと周りに感謝の気持ちを持って接すると、さらに運が開けるとアドバイスいただきました。運とは自分で作り出すもの。最終的には自分の心がけ次第なのですね。頑張ります!
ところで、今回私が占いをしてもらった場所は、「開運たこやき」というたこ焼き屋の店内。てっきり薄暗い個室で行われるものだと思っていたので、そんなアットホームな雰囲気がかえって新鮮でした。それから、「占いの商店街」のルーツは、このたこ焼き屋の前身である喫茶店のご主人という話を聞き、さらにびっくり。 もともと趣味で占いを勉強していたご主人が夏祭りの夜、占い師に扮し、即席占いを始めるや大好評。これをヒントに“ほんまもんならもっとウケるはず!”と本物の占い師を集め、現在のようなスタイルで打ち出してみたところ、ますます大盛況となったそうです。 また、この商店街では全国からやってくる修学旅行生を対象に「あきんど体験」を実施しています。これは、子どもたちが地元の産地直送品のPRや、売り子体験をすることで、故郷の特産品を見直し、お金や商売の大切さについて学んでほしいという思いから。さらに、手相、人相など占い師の極意を習得できる“占い大楽(だいがく)”に体験入学もできるとか。笑いと人情を交えた大阪らしい体験は、子どもたちの心に残る思い出となるに違いありません。
中之島散策 福島 売れても占い商店街
さて、先生とお別れしたあとは、この商店街を西に進み、もうひとつの目的地、福島聖天 了徳院へ向かいます。夕暮れ前のほのかな日差しの中をのんびり歩き、下校途中の小学生や路地裏で遊ぶ子どもたちとすれ違ったりして、ほのぼのとした下町ムードをしばし満喫。その一方で、オシャレな飲食店なども点在し、なかなか楽しい道のりとなりました。 江戸時代に開山したこのお寺は、ご近所さんでは“聖天さん”の名で親しまれ、昭和初期には年間100万人もの参詣者があったともいわれています。また、易相の大家・水野南北(1760~1837)が熱心な信者となり、江戸後期・寛政から天保にかけ、全国に3,000もの易相弟子を擁したというエピソードは「占いの商店街」構想のきっかけにもなったとか。
お寺ですが立派な鳥居があり、子持ち龍が施された山門は勇壮で、境内の緑も青々と爽やか。亀の池には、俳聖・松尾芭蕉がこの地を訪ねて詠んだという「杜若(かきつばた) 語るも旅の ひとつ哉」と記された句碑もありました。この場所はもともと淀川下流の湿地帯で杜若の名所。今も毎年5月頃になると美しい花を咲かせるそうです。お寺のご利益は商売繁盛、縁結びとのことなので、私もそれにあやかるべく、はりきってお参りしました。
日も暮れてきたところで今日の散策はおしまいです。中之島からほんの少し足を伸ばすだけで、占い師が集まるユニークな商店街があり、昔ながらの下町の賑わいを楽しめるとは、散策する甲斐があったというもの。占いの魅力にはまりつつある私。近いうちにまた訪れてみたいと思います。
(2007年10月9日)
福島聖天通商店街(通称・売れても占い商店街)
街 路
JR大阪環状線「福島駅」北 なにわ筋より聖天了徳院筋に至る東西約330m
占い
「売れても占い特命館/ご指定館」・・・毎日
「売れても占い金曜館」・・・毎週金曜日
「売れて売れても占いデー」・・・毎月第4金曜日

アカデミックエリアの穴場スポットをハシゴする

大阪市立科学館
大阪市立科学館
今日は朝から晴れたり曇ったりのヘンなお天気。そんな日に私が目指したのは、大阪市立科学館です。なんでも、ここのプラネタリウムがとっても素敵なのだとか。屋内施設なので雨が降っても安心です。それではさっそく出発。伸びやかな竹をイメージした外観が特徴的な国立国際美術館と隣り合っている大阪市立科学館。お目当てのプラネタリウムの開演まで時間があったので、館内を見て回ることにしました。大阪市立科学館のテーマは「宇宙とエネルギー」。展示物は見るだけでなく、実際に触って体感するタイプのものも多く、子どもたちの素朴な疑問や好奇心に応えてくれています。


ミュージアムショップで大人気の宇宙食。フリーズドライされたキムチ、たこ焼き、アイスクリーム
3階から見下ろす館内の風景
大阪中央卸売市場
プラネタリウム
そして、いよいよプラネタリウムへ。世界最大級の直径26.5mのドーム型スクリーンで、星空鑑賞はもちろん「オムニマックス映画」という、約4倍もの大型フィルムを使った映画も観ることができるそうです。プラネタリウムでは、テープの音声ではなく、天文学専門の学芸員さんによる生の解説が行われ、身近な星空から最近のお天気の話まで、たとえばラジオのパーソナリティーのように臨場感たっぷりに解説してくれます。これは日本でもかなり珍しいスタイル!

フランスの有名メーカー、キネット社の特注品というリクライニングシートの座り心地も素晴らしく、目の中に飛び込んでくるのは満天の星空。ソファに身体を深くうずめていると、まるで自分が宇宙空間にいるような気持ちになって、すっかりリラックスしてしまいました。

大阪大学中之島センター
大阪大学中之島センター
大阪大学中之島センター
サロン・ド・ラミカル
科学館を後にして、堂島川の方向へ歩いていくと、 左手に赤レンガ色の建物が見えました。大阪大学中之島センターです。 地上10階、地下2階建のこの建物は、オープン当初は大学・大学院のサテライトセンターとしても 活用されていましたが、昨年からの民営化以来、さらに広く一般市民にも門戸を開き、 誰もが使えるスペースとして今密かに注目を集めています。 一体どんなところなのか気になったので、 旧帝大の医学部跡地という敷居の高そうな先入観を捨て、 勇気を出して恐る恐る行ってみることにしました。

建物内に一歩踏み入れると、受付カウンターの方が「総合コンシェルジェ」だったり、すぐそばにリーガロイヤルホテルのケータリングサービスが受けられるラウンジ・スペースがあったりして、まるでホテルのような雰囲気。ここでは大阪大学の前身である懐徳堂・適塾の紹介コーナーや社会人向け公開講座の案内などの情報を集めることができます。

スタッフの方に館内を案内していただきました。まずはシックな色調とインテリアでまとめられた9階の「SALON DE L’AMICAL(サロン・ド・ラミカル)」へ。ディナー時はリーガロイヤルホテルのシェフが腕を振るうコースメニューがいただけます(要予約)。そしてサロンの奥には、革張りソファと大理石のテーブルが置かれた会議室がありました。クラシカルでありながら堅苦しくなく、ゆったりとした雰囲気の中でリーガロイヤルホテルのシェフによる料理が愉しめるので、懇親会、謝恩会、同窓会、披露宴の二次会・・・いろいろな使い方ができそうです。

大阪大学中之島センター
また、2階にもリーガロイヤルホテル直営のカフェテリア・スコラがあり、こちらはオープンキッチンでよりカジュアルにランチや軽食がいただけます。ランチタイムには、近隣に勤めているOLさんやサラリーマンの方などがいらっしゃるとか。しかもコーヒーと紅茶はおかわり自由だなんて、まさに穴場。私のオフィスの近くにもこんなスポットがあればいいのにな。
その他、社会人向けロースクールや法学部の現役学生さんの演習の場となる模擬法廷、 色々なパーティーや演奏会にも活用できる佐治敬三メモリアルホール、 どこかのカフェと間違えそうなほどおしゃれな色使いの自習室・・・ どのスペースもシンプルで機能的なところが印象的でした。 外観からでは判りませんが、ここでは何と館内の全室でTV会議システムや 遠隔講義システムが利用できるとお聞きしてびっくり。 センター内の全施設は無料会員登録したあと、インターネットや 電話で予約をすれば、阪大関係者でなくても誰もが格安で利用することができます。
最上階にはOBの佐治家ご遺族から寄贈されたホール。校章のいちょうが型抜きされた玄関の特注ガラスは夜間ライトアップされます。
図書館の読書スペース
自習室
模擬法廷
見学が終わると、外はすっかり夜。今日の散策もいろいろ発見がありました。中之島新線(仮称)が開通して朝日放送の本社が移転されると、人の流れも変わり、これからますます賑わうエリアとなりそうです。今日観た風景も、きっとこれからどんどん変わっていくのでしょうね。
(2006年6月)
大阪市立科学館
住所
大阪市北区中之島4-2-1
TEL
06-6444-5656(代表)
大阪大学中之島センター
住所
大阪市北区中之島4-3-53
TEL
06-6444-2100(代表)

大阪中央卸売市場を歩く

大阪中央卸売市場
安治川越しに大阪市中央卸売市場本場を臨む
暖かな春の陽気に誘われて、今日は大阪市中央卸売市場本場まで行ってみることにしました。 昭和6年に開設された大阪市中央卸売市場本場は、中之島の西の端、以前訪れた味の素グループ大阪ビルをさらに西へ向かい、船津橋を渡ったところにあります。 その広さは、日本最大級の延床面積32万平方メートル、甲子園球場の8倍。せりを終えた車は、1日に1万2千台以上も出入りするのだとか。
水産物・青果・加工食料品などを全国各地から入荷して、大阪やその周辺都市へ供給します。海外からもさまざまな食材がやってくるそうで、現代人の多彩な味覚と食生活の豊かさを垣間見ることができます。
大阪中央卸売市場
果物卸売場  はっさくのせりの様子
市場で一番活気があるのは朝5時頃から8時頃ですが、今回私が参加したのは、朝9時から始まる「市場見学ツアー」。現在、年間1万人を超える見学者が訪れるという人気のツアーです。この日は8時50分に集合して簡単な説明を受けると早速、果物せりの見学へ。 到着すると「はっさく」のせりが行われていました。せりは、買い手が競争して値段をつけ、一番高い値段をつけた人が買うことができます。場内は威勢の良い掛け声が響き、買い手は指を使った独特のサインで買い値を伝えます。交渉が成立し、買い手が決まった品は次々と仲卸店舗から運び出され、大阪とその周辺都市のスーパーや果物屋へ運ばれていきます。
大阪中央卸売市場
昆布屋さんの店先。八軒家に関する冊子も配布されています。
せりの様子を見学したあとは、80店舗ほどある仲卸店舗が集まる果物卸売場へ。ここの果物は市場らしく箱単位での仕入れ体験(小売店舗等の疑似体験)が基本です。店頭にはキウイ・フルーツほどの大きさの「だるま苺」という珍しいイチゴを発見しました。量産され、いつでも食べられるスナック菓子と違い、その時期に一度きりしか食べられない果物。もっと丁寧に、大切に、食べないと・・・なんて思ってしまいました。
続いて水産仲卸売場へ。鮮魚180店舗、加工水産物(塩干物)90店舗ほどの仲卸店舗が集まります。採れたての海産物がいっぱい。イセエビをはじめ多くの魚介類の生け簀(いけす)もあります。マグロは朝4時過ぎからせりが始まるため、今回のツアーで解体の様子は見学できませんでしたが、解体後の加工風景に出会うことができました。先輩に教わりながら慎重にキハダマグロの解体作業を進める新人さんの真剣な表情に、こちらもちょっぴり身が引き締まる思いです。
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その近くには、魚介類を使った干物や削り節など水産物の加工品のお店が並んでいます。削り節は一般的なカツオだけでなく、サバやアジなど、さまざまな種類の削り節がありました。お店の方のご厚意に甘えて、カツオ節になる前の固形のカツオを見せてもらったり、それぞれの削り節を食べ比べさせてもらいました。やはり削りたては香りがだんぜん違います。あまりの香ばしさに思わず「これ、ください!」。お店の方は、カツオ節を豪快に紙袋に詰めながら「冷蔵庫やなくて冷凍庫で保管したほうがええよ」と笑顔で教えてくれました。
大阪中央卸売市場

お次は別館の展示ホールで、開設当時から現在までの市場のジオラマを見ながら係員の方に市場の歴史をうかがいました。昭和30年代後半から40年代の本格的なトラック輸送の時代を迎えるまで、大阪湾から安治川をさかのぼって数多くの貨物船が大阪市中央卸売市場の岸壁に横付けして荷揚げを行ったり、敷地に国鉄の線路が引き込まれ、貨車で運搬されていたそうです。

市場内を忙しそうに走るターレットという小型の運搬車やフォークリフトなどのジャマにならないように移動しながら、いよいよ最後の見学場所、野菜仲卸売場に向かいます。120店舗ほどの仲卸売場が連なるこの場所も、せりはすでに終わっていましたが、出荷を待つダンボールたちがうずたかく積みあがっていました。 最後に研修室で早朝のマグロのせりの様子をビデオ鑑賞。その雰囲気を味わいました。大量のマグロが一面に並べられた卸売場は圧巻です。今回、見学ツアーで市場を歩き回って思ったのは、一生懸命働いている大人は本当にカッコイイ!ということ。子どもたちに見せたい、大人たちの素敵な背中でした。

大阪中央卸売市場
以上で2時間ちょっとの見学ツアー終了。係員の方にご挨拶し、市場をあとにしました。
あちこち歩き回ったので、おなかが減ってきたみたい。 というわけで、散策の締めくくりは、市場の正面入口左手にある、寿司「ゑんどう」へ。市場で働く人からスーツ姿のサラリーマン、地元のおじいちゃんまで、いろんな人に愛され、2006年で創業100年を迎える老舗です。名物は、握りこまない独特の“つかみ寿司”。朝一番に仕入れた新鮮なネタ5カンが1皿に並ぶ「上まぜ」が1050円と、嬉しいお値段でいただけます。その味はまさに絶品。魚介のダシがギュッと詰まった「赤だし」(300円)も最後の一滴まで美味しくいただきました。
市場を出てから船津橋を渡って、南へ歩くとほどなく靱公園に到着。靱公園周辺も気になるエリアではありますが、この辺りの散策はまたいつかということで、今日はこれでおしまいです。
大阪中央卸売市場
大阪中央卸売市場
(2006年4月)
中央市場 ゑんどう
住所
大阪市福島区野田1-1-86 大阪中央卸売市場本場
TEL
06-6461-7773
アクセス
JR環状線野田駅より中央卸売市場方面へ徒歩10分
URL
大阪中央卸売市場本場
住所
大阪市福島区野田1-1-86 大阪中央卸売市場本場
TEL
06-6469-7850
アクセス
JR環状線野田駅より中央卸売市場方面へ徒歩10分

中之島を西へ

西
越中橋という小さな橋から東を見た風景。
今日は中之島を西へ歩いてみました。
通勤ルートのせいもあって東側には何となくなじみがあるのですが西側に足を運ぶのは今回が初めて。中之島の西の端には何が見えるのかと思いつつ、デジカメを片手に出発です。
晴天の下、なにわ筋から街路樹の緑が美しい土佐堀通りを西へ向かい、路地を少し入ったところに歩道橋のような小さな橋を見つけました。
この橋の上から東を望むと、中之島に位置するビル郡を望むことができ、なかなかの迫力です。
その橋を渡りきり、そしてまた西へ歩くと味の素グループ大阪ビルが見えます。
建物自体まだ新しいといった印象で、1階に広くとられたスペース、そこにきれいにディスプレイされた商品がビルの外からも眺められます。
以前ネットで検索していたときに、このビルの中に食べ物の書籍を扱った施設がある、との記事を思い出し入ってみることにしました。
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各国のレシピやハーブなど食材そのものを取り上げたものも。様々なジャンルの本が並んでいました。frn2
昔はこんなパッケージに入ってお店に並んでいたんですねー。
1階で受け付けてもらって2階の入り口を入ると、左手には食べ物関係の雑誌やレシピなど、気軽に読める本が並べられています。その奥にはDVDなども視聴できる閲覧ブースがあります。どんな本があるのか流し見ながら本棚の奥へ入っていくと、本の合間に大正時代の新聞広告や昭和20年代に使われていたレトロなパッケージの復刻版などを見つけました。
アメリカ向けに作られたポスターの、日本美女やレトロなデザインに目を奪われます。棚には世界のあらゆるオリーブオイルを紹介する本やお茶菓子だけを特集した本、クレープや今川焼などの庶民派スイーツだけを特集した本など、見ているだけで楽しめる本がたくさん並べられていました。片や砂糖の歴史的な背景を取り上げた本や、カフェを通して大正・昭和の風俗を描写した本、専門的学術的な本まで、さまざまなジャンルがそろっていました。

気になったのは、スパイスと健康について書かれた本。美肌にはこのスパイス、といったように様々なスパイスの特徴と、それを使ったレシピなどが紹介されていました。

司書の方のお話しによると、学生さんは研究の資料集めに、主婦の方は料理本を、その他食品業界の方なども様々な調べものにこのライブラリーを利用されているとのことでした。

また、ネットで蔵書の検索もできるので、目当ての本があるかを調べてから足を運ぶといった利用の仕方もできます。

普通の図書館のように貸し出しもしているので、食べ物について気になることがあればぜひ。

「味の素 食のライブラリー」は、味の素株式会社が主として西日本在住の一般の方々に向けた食に関する情報発信機能の基幹施設として、味の素(株)グループ大阪ビルの2階に2003年12月に開館しました。

「味の素 食のライブラリー」は、食に関する図書、雑誌、映像資料を一般の方々に提供する図書館で、「食」について関心のある方々への資料・情報を入手するのをサポートする施設です。 食文化・食材、食品・料理・食生活・栄養・食経済に関する図書を多数蔵書しており、現在もさらに充実すべく鋭意収集中です。 とくに、大阪”なにわの食文化”に関する資料の充実をめざしています。 ・・・図書、古書、引き札、雑誌等一般公開しており、利用は時間内であればどなたでもご利用いただけます。(貸出しもしています) (平日 10時-17時、但し、臨時休館日あり)
今後は、利用者の「食」に関する知的好奇心が、ライブラリーの所蔵資料に触れることによって、ますます活発になり、新しい考えが生まれるきっかけとなるような図書館にしたいと思っております。
堂島川と土佐堀川が流れる中之島という、ゆったりとした環境にあります。 それだけに、静かに図書・資料をご覧いただけると思います。

是非一度ご来館下さい!

西
昭和橋を渡った辺り。船がたくさん横付けされていました。

西
マンゴージュースのお店。お酒が並んでいるところを見ると、夜はバーなんでしょうか?
ビルの外へ出て、土佐堀川沿いをさらに西へ向かいます。
中之島の西の端。ここはいくつもの川が入り組んでいるおかげで橋が多い!堂島川をまたぐ上船津橋、土佐堀川には湊橋、安治川が分岐するあたりには船津橋と端建蔵橋、 さらに下方から木津川が合流するあたりには昭和橋があり、今どの橋の上にいるのか混乱します。湊橋の上から東を向くと、勢揃いした中之島のビル郡に圧倒されます。中之島を一望するにはある意味いちばん適した場所かもしれません。 いつもの私もあのビルの狭間に紛れて働いているのだなぁと思いました。端建蔵橋から西を向くと、大きな安治川がずーっと続いていくのが見えます。 大阪湾へ流れ出るにはまだまだ遠いのですが、なぜか港町にいるような気持ちになります。大きな倉庫や川岸に並んだ船のせいでしょうか。川の向こうには中央市場が見えます。中央市場には市場体験ツアーというものもあるらしい。いつかチャンスがあれば行ってみようとおもいます。

中之島を西へ歩いて思ったことは、普段知っている中之島とは全然印象の違う場所だということ。 日常の忙しさを忘れるような静かな気持ちになります。 東西に長い地形を考えると、これくらい違いがあっても不思議ではないとも思いました。

そんな中之島の最西端を見て満足し、東へ折り返します。
今度は堂島川沿いを歩いて各国の人々が集うグランキューブ(大阪国際会議場)や、中之島新線の終着駅となる玉江橋駅の工事風景などを見ながら、やっと出発地点なにわ筋のあたりまで帰ってきました。
往復4時間ほどの道のりだったでしょうか。足が辛い。

そこに出現した黒い建物。ジューススタンドのようなカフェのような(ヴィスガーデン土佐堀店というお店だと後に判明)。メニューにはとにかくジュースが100円で飲める!といった旨のことが書かれていたので、 とりあえずマンゴージュースのミルク割りを。
濃くて美味しいその味に癒され、安治川の穏やかな流れを思い起こしつつ、今回の長い散策は終了したのでした。
※2005年9月の取材記事です。

橋の名前は順に・・・
1昭和橋、2端建蔵橋、3船津橋、4湊橋、5上船津橋、6越中橋
味の素 食のライブラリー
住所
〒530-0005 大阪市北区中之島6丁目2番57号
TEL
06-6147-5267